家づくりストーリー その2 〜札幌M邸MAGARIYAの場合の場合〜

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出会い こだわり プランニング 実施設計 手づくり感 見積調整 竣工 上質な時間

暮らしのまん中に、
テラスと薪ストーブがある家

2007年冬、薪ストーブの炎が、
日々の時間をあたたかく彩るM邸が誕生。
60代ご夫婦が、終の棲家として選んだこだわりが、空間の随所にとけこむ「MAGARIYA」完成までのプロセスをご紹介します。

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以前から持っておられた敷地に3軒目となる家を建てることにした。

出会い

Mご夫婦にとっては、3軒目となる家。
初めての家はハウスメーカーに依頼、
2軒目は男性建築士が手がけたものでした。

「夫婦二人きりになり、手頃な広さで、掃除や雪かきに煩わされることなく、
のんびり暮らしたいと思ったんです」

当時の家は、鉄筋コンクリート造。70坪の敷地がありました。
同じ場所でリフォームしようかと調べたところ鉄筋コンクリート造の場合、
リフォームが難しく、費用がかさむことがわかったそうです。
「終の棲家となる3軒目は、絶対に木の家にしたいと思っていました」

マイホームセンターや「建築家展」などへ出かけ、建築家カタログも購入。
そこでTAO建築設計のことを知り、2007年の春の初め、来所されました。

こだわり

ファーストスケッチ。特長ある敷地の形状を活かした平家感覚のプラン。

こだわり

Mご夫婦の希望は、すでに具体的に思い描かれていました。

  • ・木の香りにつつまれる家。
  • ・広いワンルームのような仕切りのない間取り。
  • ・外との一体感を感じながら暮らしたい。
  • ・テラスで食事などを楽しみたい。
  • ・車椅子が必要になっても対応できる仕様にしたい。

候補となっていた現在の土地では、以前の家よりかなり手狭になることを
ご理解頂いた上で、別の土地を探すことも想定しながらまずは図面を起こしてみることとなりました。

「夫婦で老後を過ごす家ですから、女性の建築家ならではの
細かい配慮に期待したんです。土地選びのことから親身に相談にのってもらい、
最初の出会いから信頼できそうな人だと感じました」

出会いプランニング

プレゼンテーション模型。中庭を取り囲み、屋根が螺旋状にのぼっていく独特の外観。

プランニング

最初の出会いから1ヶ月ほどで、模型での最終プランまでをご提案。
少々クセのある土地形状に、無理なくぴたっとはまる図面を
描くことができました。

「ラフプランだけで、これだ!と思いましたね。
まさに希望通りの家をイメージすることができました。以前の家に、思いがけないほど早く購入希望者が現れたこともあり、この土地に建てようと決めました」

当初は土地選びも含め、1年間くらいかけてじっくり練り上げる予定でしたが、さまざまな条件が整い、基本プランを気に入っていただけたので、
すぐに実施設計へ取り組むことになりました。

こだわり実施設計

設計図書。

実施設計

「ほとんどラフプランのまま、手直ししてもらう部分はありませんでした。
基本的に間接照明を使う設計も、私たちの生活スタイルにぴったりはまっています。この段階でイメージしにくかったのは、天井の仕上がりくらいでしたね」

長年、戸建てにお住まいになり、ご自分たちのライフスタイルが確立された
ご夫婦だけに、細部の打ち合わせもかなりスムーズに運びました。

アパートやマンションから戸建てに住み替えなさる方たちには、生活シーンをなるべくリアルにイメージしていただくため、この段階でのやりとりに時間をかけさせていただいています。

Mご夫婦とは、2週間に一度の打ち合わせを進め、2ヶ月で設計図が完成。
設計図書は45枚になりました。

プランニング手づくり感

丸太を挽いた板材を木目や寸法を確認しながら一緒に吟味していく。
カウンターをサンダー掛けするご主人。
サンダー掛けしたダイニングテーブルに塗装をする奥様。

手づくり感

材木選びから関わっていただくために、
一緒に木材の工房へ足を運んでいただきました。

「丸太から選ぶことができ、いい経験ができました。実際に手で触れ、木目を見ることで、自分たちの家を自分たちでつくるんだという気持ちがふくらみました」

材料が決まってからも、ご夫婦で工房通い。ダイニングテーブルや玄関の上がり框、ベッドのフレーム、洗面台、トイレの手すりなどをサンダーかけし、塗装もご自身で手がけられたのです。

「10日間ほど通いましたが、とても楽しかったです。愛着がわくものですね。
お客様が来ると、思わず自慢してしまうんですよ」
ご夫妻の笑顔がこぼれます。

実施設計見積調整

見積もりがまとまり、いよいよ着工。
敷地いっぱいに広がる基礎工事の様子。

見積調整

随所に理想の家づくりを求めたので、最初の概算見積を超えていました。

最終の調整段階での選択は、薪ストーブとエアコンの設置をどうするか……。

「多少迷いましたが、すでにストーブのある暮らしが頭の中にはありましたから、あきらめたくなかったですね」

妥協はあまりせずに、希望通りの終の棲家をつくりたい……
Mご夫妻の強い思いにお応えするため、微調整をしながら許容範囲の費用を算定。
薪ストーブの炎が、リビングにともることになりました。

手づくり感竣工

うねり昇る垂木が美しい軸組の様子。
完成間近の外部板金工事風景。
施主立ち会いの完了検査の様子。
キッチン越しに見る引き渡しの様子。

竣工

9月初旬に着工、10月下旬に上棟。
着工からは、現場施工者も含めて1週間に1回の定例会を開きました。
そして12月20日、引き渡しへ。

テラスを包み込むようにレイアウトしたM邸の愛称は「MAGARIYA」

寝室の障子を開けると、テラスをはさんでリビングとつながり、
家のどこにいてもお互いの気配を感じ合えます。
吹き抜けのリビング・ダイニング、段差のない床、外との一体感を愉しめるテラス……実際の面積以上に感じられるのびやかな空間が生まれました。
「住みごごち?満点ですよ」

ムク材のフロアを元気に走り回る愛犬・パピちゃんもお気に入りの様子です。

「風が入ってこない郵便受けや水滴がたまらない傘入れ、外気を利用して冷蔵庫のように使える食品庫など、期待通りのキメ細かい配慮がいっぱいです。収納もたっぷり。キッチンもとても使いやすい。大満足です。」

水周りの上部は、屋根裏部屋風のロフト。そこへ続く階段が、空間のアクセントとなっています。

「階段途中やロフトから眺めると、また違う表情に見えて飽きませんね。天井の木組みも気に入ってます」

見積調整上質な時間

リビングから全体を見渡す。
薪ストーブそばのアームチェアは、パピちゃんの特等席。

上質な時間

ご主人が手がけたダイニング・テーブルで食事。
そしてストーブの炎とわずかな間接照明だけで、音楽をかけながらコーヒーを愉しむ……ご夫妻にとって、何よりのお気に入り時間だそうです。

「薪ストーブをつけて、本当によかった。裸足でいられるほど、あたたかいのはもちろん、炎を見ているだけでほっとなごみます」

夜は照明を落とし、空間の陰影を楽しむというご夫妻。
パピちゃんもぴったりと寄り添います。

結婚40年。気に入ったものを大事に使いたいというご夫妻は、椅子などは張り替えてお使いになっています。
「このソファは、もう20年くらい。クッションのサイズに合わせてフレームだけつくっていただきました。新しい家に、以前の生活のぬくもりがそのままとけこんでいます」

雪がとけたら、テラスに植栽し、卓袱台を配置。食事したりテレビを見たり、リビングの延長のように使われるそうです。

日常の中で、いかに人生を豊かに愉しむか……
ご夫妻のこだわりや明るい笑顔から、たくさんのことを教えていただきました。

この空間に日々、心の上質感を映すいい時間が流れ続けることでしょう。

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竣工